第五章
「み、見られている……」
「動揺するな。目を逸らすのも禁止だ」
さすがのリオンも想定外だったのか、レジの下に屈み込んで指示を出すユウの言葉に、こくこくと頷いて。一応、やり方は分かるので商品をレジに通していき。
「忘れ物とか無いよな」
「大丈夫だろ」
幸い、一番突っ掛かってきそうなディディーとトゥーンはお互いに話していて気付いていない。が、リュカからの視線が……
痛すぎる。
「お兄さん」
不意にリュカが声をかけてきた。
構わずにリオンが商品をレジに通していると、今しがた通したばかりのバナナを手に取って。ぴたり、リオンの手が止まる。
「な、にかな」
「バナナ……好きですか?」
えっ?