第五章
「ちょっと! 何してたのよ!」
「用を足していた」
そうじゃなくて!
「どうして外で待たせたりしたのよ!」
「一緒に入れるか!」
騒いでいても仕方ない。
リオンを野放しにすることがどんなに危険なことか。だからって子供達を放っておけない。さっきみたいに、変な連中が現れて声をかけないとも限らないし……
「とにかく、リンクとドンキーに知らせてちょうだい。私は子供達を見張るわ」
「ああ。そっちは頼んだ」
ユウは電話を切ると、他二人にも知らせようとアドレス帳を開いて。その時、トイレから藍色の雨合羽を着た男が出てきた。
「おい待て」
何だ。普通にいたじゃないか。
普通に横切ろうとしたところで腕を掴み、引き止める。その男は振り向いて。