第五章
「きゃあっ!」
ディディーは左足を床に擦り付けてブレーキを掛けつつ体を後ろに傾け、トゥーンとピチカの間を縫って通り過ぎた後、停止。
リムの目の前、である。ディディーはふっと笑みを溢し、爽やかな笑顔で。
「お待た――ってえ!?」
すかさず、リムが制裁を下す。
後ろから拳骨を喰らわせたのだ。何をするんだとディディーが振り向こうとしたところで、他の子供達が駆け寄ってきて。
「もうっ! 危ないでしょ!」
「ったく。格好付けやがって……」
言いつつ、トゥーンはショッピングカートに買い物籠を乗せて。まだまだ買うものはあるんだろうし、これは助かる。
「次は何だっけ?」
「えっとねー、鶏肉と豚肉と、牛肉っ」
ネスが訊ねると、ピチカはメモを読み上げて。これはさすがに間違えないだろう。