第五章
「一つずつ買っちゃえば?」
「それだ」
ピチカの提案にディディーは手を打って、それは名案だと指差してからそれぞれ一袋ずつ手に取る。が、そこで一度に三袋も腕に抱えたのがまずかった。
「おっ、あ」
一つ、また一つと袋を床に落とす。
「ばばばっ馬鹿!」
放っておいてもネスやリュカが拾うというのに、ディディーが拾おうと手を伸ばした結果――トゥーンはバランスを崩して。
「うわっ!」
好きな子の目の前で格好悪いなぁ……
「ぇ」
次の瞬間、ディディーとトゥーンは同時に小さく声を洩らして。実は、すんでのところでドンキーが棚に両手を付き、後ろに倒れかかった二人を背中で支えたのだ。
大惨事は免れたものの、ここである意味の接触は非常にまずい。特にドンキーは関西弁という独特な喋り方をするので、迂闊に声もかけられないのだ。