第五章



「……いいか?」
「お、おう」

その場に屈んだトゥーンの首後ろから跨がり、頭の上に両手を添えて頷く。

「いくぜ。せーのっ!」

勢いよく立ち上がるトゥーンだったが、やはり子供とだけあって足腰も強くなく、前方にふらついて。慌てて、両側からネスとリュカがトゥーンを支える。

「っとと……わりぃな」
「危なっかしいなぁ」
「気を付けてね」

謝るトゥーンに、ネスとリュカは口々にそう告げてそっと離れる。ふぅ、とディディーは小さく息を吐き出してひと安心。

「店員さんに頼めばいいのに」
「絶対やだ!」

口を揃えるディディーとトゥーンに、ピチカは「はいはい」と呆れ顔。……まっ。

好きな子には格好ええとこ見せたいしな。

「っと」

ドンキーは慌てて顔を背けて。

――リュカの奴、事あるごとに振り返ってきよる。後ろに目でもあるんとちゃうか。
 
 
28/67ページ
スキ