第五章
「すみませーん」
「はぁい?」
段ボールの中に詰められた野菜の仕分けをしていた店員は、声をかけられると顔を上げ、少し屈んで視線を合わせながら。
「何を探してるのかな?」
「えーと……新人!」
間違いを疑いもせずそのまま訊ねるか。
当然、その店員は笑顔のまま固まってしまっている。本当はニンジンなのに、口出し出来ないというのがどうにももどかしい。
「ついでに蝋燭とかも買っとこうぜ」
「ろう、そく……」
や、店員さん。別に新人に蝋燭を使ってSMプレイとかそんなのは絶対にないから。
仕方ない、と溜め息を吐き出したリンクは子供達とは少し離れた所に顔を見せないようにして出てくると、わざとらしく。
「あー、今日はカレーかなー。だったら人参! 人参買わなくちゃいけないなあー」
と、聞こえやすい声量で独り言。
それを聞いていたリュカは一度振り返ってリンクを見つめると、ネスにこっそり。