第五章
桃色の髪の男は最後、にこりと笑ってから背を向けて。立ち去ろうとするが刹那。
「名前っ!」
ディディーは勢いよく指差して。
「教えてくれてもいいだろ!」
桃色の髪の男、暫く立ち止まっていたが振り向かないまま、片手を軽く挙げて。
「大人になってまたおうたら教えたるわ」
そう告げて、走り去ってしまい。
子供達はその背中を暫く見つめていたが、すかさず円を作ると顔を見合わせて。
「ね。あれ、やばかったよね!」
「何ていうか、雰囲気から違うよな」
「うんっ……!」
子供達の瞳は爛々としていて、中でもディディーとトゥーンは興奮したように、
「ヒーローは……」
「多くを語らない……」
双方、声を揃えて。
「かっけぇー!」