第五章
子供達の元へ戻ってきたディディーは、トイレに案内してからの一部始終を話して。
「えーっ!」
本当に、先程の男を全く疑っていなかったのか四人は揃って声を上げた。
「あれって不審者だったんだ……」
「言われてみりゃあ、確かに」
ピチカとトゥーンは口々に話して。
ディディーはピチカに傘を返し、トゥーンの傘の中へ。桃色の髪の男はというと、傘を持っていないのかフードを被っていて。
「あの、さ」
ディディーは桃色の髪の男を見上げて。
「何で助けてくれたんだ?」
すると、桃色の髪の男は答えづらそうに頬を人差し指で掻きながらそっぽを向いて。
「……なぁんかな」
桃色の髪の男はふっと小さく笑みを溢すと、ディディーの頭の上にぽんと手を置き。
「ちぃこいお猿さんて、放っとけへんのや。ま、次からは気ぃ付けてや」