第五章
リュカが振り向いたのも最初の一度だけで、それ以降は他の四人も含め、振り向くことはなく。……普通は気付くだろうに。
「せやけど、ほんま何もないな」
ドンキーは建物の影に隠れながら、つまらなそうに呟いて。リンクも同じ場所に隠れていたが、うーんと腕を組んで。
確かに、少し心配が過ぎたかもしれない。
子供子供だと一概に言っても、彼らは誇るべき特殊防衛部隊、X部隊のメンバー。
あれでもいつかは立派に成長して、世界を救うかもしれない。そう考えてみると、心配してるこっちの方が阿呆らしいような。
「むっ、帰るのか」
「彼らなら心配ないでしょう」
リオンは恨めしそうに電柱の後ろから子供達の背中を見つめて。
「転けて泣き出すハプニングがまだ……」
「この阿呆だけでも連れて帰ろ」
ドンキーの台詞に、うんうんと納得するように頷くリンクとユウ。後のことは子供達に任せ、帰ろうとしたその時だった。