第五章
「これ、合ってんのか?」
「合ってるに決まってんじゃん」
トゥーンはむすっとした顔で。
「兄ちゃんが書いたんだから」
ディディーは地図を参考に進路を目で辿り確かめると、先を歩くピチカに、
「ピチカ! 次のT路地を左だってよー」
「はいはーいっ」
ピチカは雨傘をくるくると回しながら返事をすると、言われた通り、間もなく迎えたT路地を左に曲がって。他四人もはぐれないよう、駆け足で追いかける。
しつこく降り続く雨は、子供達の後ろから付けてきていた影の足音を、掻き消した。
当然、そのことに子供達が気付くはずもなく、影は付かず離れずの距離を保ちながら静かに、後を付けてきていて。
「……?」
ふと、リュカは怪しい気配に気付いて振り向いた。ネスは小首を傾げながら。
「どうしたんだ?」
――しかし、そこに影の正体は無く。
「……ううん」
リュカは首を横に振り、前に向き直って。