第五章
「いってきまぁーす」
我先にと外へ飛び出して、雨傘を差すピチカ。少し歩いてから振り返ると、遅れて他の四人も出てきて。……とはいえ。
「おまっ、狭い! もうちょい寄れ!」
「文句言うなよ。ぎりぎりなんだぞ……」
ネスとリュカ、ディディーとトゥーンは相合い傘。雨傘が足りなかったのである。
「じゃあ、どっちか僕の傘に入る?」
ぎゃあぎゃあ喚くディディーとトゥーンを見兼ねてか、ピチカが気を遣うが。
「や、だって……な?」
「抜け駆けはしない主義だし――」
「へ?」
「何でもないっ!」
ピチカの頭には疑問符が飛び交っていたが、二人には譲れない何かがあるのだろうと勝手に納得して、前に向き直り。
これから五人が向かうのは、別荘から歩いて十五分程度の場所に位置する、スーパーマーケット。そこに至るまでの手書きの地図は、ディディーが所持している。