第四章
「ファーストキスがおっさんに奪われたって知ったら、さすがにショックだろ」
確かに、一理ある。それでも医術をかじっているマリオに任せた方が安心だが。
「ここはじゃんけんで」
「時間が掛かるだろうがっ!」
ぐっと拳を握ったルイージの頭を、マリオはハリセンで思いきり叩く。……何処に持っていたかは突っ込まないとして。
「ほなピチカがやりぃ。好きなんやろ?」
「えー!」
ドンキーの提案に、ピチカは顔を赤くして両手で頬を包んでは恥ずかしそうに。
「ぼぼっ僕が……お、おにぃに……キ」
「駄目だ!」
声を揃えたのはディディーとトゥーンである。……どうやらピチカにとってもファーストキスと知って、させたくないらしい。
「だ、だってピチカ……ピチカはっ」
「キスとか下手そうだもんな! な!」
「そっそう! 絶対に舌とか噛む」
二人、不意に背後から殺気を感じて。
「って……」
ゆっくりと振り返る。