第四章
海というのはこういう事故も多い。
とにかく詳しそうな人を呼んでこいとゲムヲとロボットに頼んだが、さすがに人選ミスだった。時間が掛かりすぎている。
「……仕方ないな」
やるしかない――マリオはルーティの顎をくいっと持ち上げると、ごくりと唾を呑み込んで。徐々に、顔を近付ける。
「あの、な」
ルーティの目前でぴたり。マリオは勢いよく立ち上がりつつ振り返っては、誰と決まった訳でもなく勢いよく指差して。
「誰か止めんかい!」
誰もが知っていた。これからマリオがルーティにしようとしているのは、意識せざるを得ない彼の有名な人工呼吸ということ。
しかし、意識してしまうからこそ誰も名乗り出れずにいた。全く、普段は取り合いだというのに……マリオは頭を抱えて。