第一章
「スピ」
「三日だ」
ルーティはきょとんと目を丸くして。
「三日の内に、こっちの仕事を片付ける。だから、三日後からの一週間なら……」
「本当っ!?」
思わず声量が大きくなってしまい、スピカは咳払い。ルーティは慌ててウルフを見るが、気付かず眠っているようで。
「……じゃあ、それでお願いねっ」
ルーティは飛び上がりたい衝動に駈られながらも、その気持ちを何とか抑えて、それでも明らかにご機嫌な声音で話した。
スピカはくすくすと笑って。
「喜びすぎ。ま、三日の内に水着とか浴衣、それに旅行するんなら手配もしとけよ」
ルーティは頷きながら聞いていて。
「それと。……これは私事なんだが」
唐突に、スピカは小声でぼそぼそと。
「ぴ、ピチカが……その、水着とか浴衣を着てる写真。撮っといてくんねーか?」
――さすがシスコン。抜かりがない。