第四章
単純に、速い。
ボールを取ろうと動こうとしたファルコを、フォックスが目で合図。仕方なく、取らないままにその場で構えていると。
「なっ」
急にボールが向きを変えてファルコの元へ。ファルコ、慌ててボールをトス。
「あの野郎っ」
ファルコがユウを睨み付ける中、フォックスは上手くネット側へ飛んできたボールをスパイク。砂浜に叩き付け、二点目。
これで七対六……やっと抜かせた。
「今のは絶対にズルだろ!」
ようやく仕掛けに気付いたらしいクレイジー、フォックスを勢いよく指差して。
「人聞きが悪いな。俺達が、ズルを?」
「そうだよ! そいつっ!」
続いてクレイジーはユウを指差す。
まずい! ルーティも注目しているが、ここは顔色を変えず冷静に……
「気に食わないならどうぞ見張ってくれ。俺達は何もズルをしていないからな」