第四章
「よっ」
ぽいとボールを宙に放り投げ、ファルコのサーブ。何の変哲もない、至って普通の取りやすい速度のボールである。
自分のコートにボールが飛んでくると、クレイジーはすかさずその真下へ。
「簡単かんた――」
ズドォン!
直後、ボールは避けるようにして右に曲がり、勢いよく砂浜に叩き付けられて。
当然クレイジーはボールを取れず、ぽかんとして。ボールはというと、よく見れば砂浜を抉るようにして埋まっている。
「っい、今の!」
クレイジーは咄嗟にタブーを睨み付ける。
タブーはクレイジーの視線に気付くと、にこりと笑って手をひらひら。
「仲間割れかい?」
「ちゃうちゃう」
訊ねるマルスに、ドンキーはクレイジーに悟られぬよう、ちらりとユウを見遣る。