第四章
「フォックス……」
心配そうに名を呼ぶルーティ。
――特殊能力の使用は端から禁止されている。そうして勝ったところで、連帯責任でのペナルティというのは避けたい。
とはいえ。
「図に乗りすぎだな」
呟いたのはウルフである。近くにいたルーティは不思議そうに見上げたが、ウルフはそれ以上を口にすることはなく。
――その通り。神様に翻弄されっぱなしではいい加減癪に障る。少々大人気ないが、きっちり仕返しをさせてもらおう……
「え、何。作戦?」
一瞬目が合ったフォックスとユウを見て、ロイは小首を傾げる。ユウは短く息を吐き出すと、再び金色の瞳に変わって。
「世話が焼けるな」
――実は先程、ボールがルーティにぶつかるように仕向けたのはユウだったのだ。
お陰でタブーが自らネタをばらした。
超能力によるサポートを使ったところで、疑われるのはタブー。この状況、存分に使わせていただくとしよう。