第四章
「くっ」
確かにネット付近で待機しているフォックスに上手く回したはずなのに、ボールは潮風に煽られてそのまま相手のコートへ。
こんな見易いボールを見逃すはずもなく、マスターがトス。そこへ高々とジャンプしたクレイジーが左手を振り上げて。
「これでも、喰らいな!」
スパイク。それもフォックスの頬を掠めた後、真っ直ぐファルコ目掛けて高速で飛んでいき。――狙いは、恐らく顔面。
「ファルコ!」
「ちっ」
受け止める余裕があればいいが、あのボールは速い。仕方なく、ファルコはボールを躱す。しかし、そのちょうど後ろには。
「ルーティ!」
「えっ」
思わず、目を瞑った。
しかし痛みは感じない。ルーティはゆっくりと瞼を開き、そして驚いた。