第四章
「よっ」
ファルコのサーブ。
クレイジーとは違ってなかなか速い玉で、しかもコートの右側を狙ってくるので誰もが取れないだろうと予測していた。
……が、潮風が彼らに味方をしたのか、ボールは速度を緩めて左側へと逸れる。
「もーらいっ」
にやりと笑ったクレイジー、ボールの真下へ駆け付けてトス。高く上がったボールをマスターがすかさず、スパイク。
「させるかっ!」
と、ここでフォックスがブロック。
マスターのすぐ横を掠めて、ボールはコートへ落ちる……しかし間一髪、飛び込んだクレイジーの左手がボールを拾った。
しかもそのボールが運良くネットより高く上がり、マスターが再びスパイク。
今度こそ上手く決められ、二点目を奪われる。マスターとクレイジーが手を打つ中、不審に思ったファルコが。
「おい。……何かズルしてねぇか?」