第四章



コートを用意したのはマスターだった。

といっても、魔法を使うだけの簡単な作業だったのだが。その代わり先攻は頂くらしく、マスターはビーチボールを人差し指の上でくるくると回しながら。

「時間は無制限。先に十点先取した方が勝ちということで異論は無いな?」
「見易いじゃねえか」

ファルコは余裕綽々といった具合に笑って。しかし、フォックスはまだ睨んでいた。

「……ん」

視線に気付いたマスターは短く息を吐き出すと、ボールを後ろに放って。

クレイジーはそのボールをキャッチ。

「言っとくが、特殊能力の使用も禁止だ。それだと簡単すぎてつまらないからな」
「そりゃ好都合」

そんな条件で大丈夫なのか。

マスターとクレイジーにとっては悪条件ばかりの、このビーチバレー対決。

勝負は見えてるじゃないか……誰もが思ったのも束の間、開始の合図を知らせるべく、審判のマリオがホイッスルを鳴らした。
 
 
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