第四章
「……そちらの要求を呑もう」
もはや選択肢は一つしかなかった。
フォックスが放った言葉に、ファルコは小さく舌打ち。ルーティも思わず息を呑む。
「へえ、いいの? 別にそこまでって程でもなかったんだけどなぁ……」
如何にもわざとらしいクレイジーのその台詞に、ルーティ以外の三人が苛立ってしまっているのは一目瞭然だった。
「せっかくの権利だ。有り難く使わせてもらおうじゃないか……、なあ?」
「そうだね、兄さん。どうしよっか」
顔を見合せるマスターとクレイジー。
彼らのことだ。とんでもない要求をしてくるに決まっている……そう思って、フォックスは顔を俯かせていた。
――俺が、ペンダントを無くさなければ。
「決めた」
クレイジーは笑って。
「ビーチバレー対決がしたい。ねっ、いいでしょ兄さん」
「貴重な体験だ。悪くはないな」
くそっ。そんなの無理だ……って、え?