第四章
フォックスは一歩前に踏み出して。
「返せ!」
「随分と上から目線だな。こっちはたまたま見つけてやったというのに……」
簡単には返すつもりがないらしい。
しかし此方も引き下がるわけにはいかず、鋭く睨み付ける。クレイジーはくるくるとペンダントを回しながら笑って、
「そんな態度でいいのかなぁ?」
「っ……どういう」
「タブー」
クレイジーが呼ぶと、近くでさざ波をじっと見つめていたタブーが駆け寄ってきて。
「こいつの能力、知ってるだろ?」
クレイジーは口角を吊り上げて。
「まさか」
あのペンダントに沢山の思い出が詰まっているのは確かだ。それを体内に取り込み、タブーがOFF波動を放ったとしたら。
「食べさせちゃおっかなぁ……?」
「やめろ!」
探し物どうこうの問題じゃない。
今、この場でOFF波動を放たれたとしたら、沢山の数の人間が犠牲になってしまう――