第四章
「フォック」
「何でもないっ!」
名前を呼ぼうとすれば、これだ。
状況がよく掴めず、不思議そうな顔をして近付くルーティに、後退するフォックス。
「い、言うもんか……っ」
フォックスは先程よりも大きな声で。
「ラディスから貰った大切なペンダントをなくしてしまったなんて、絶対に言わないっ!」
無駄に木霊したその台詞に、ルーティはピシッと凍り付く。ファルコは頭を抱えて溜め息を吐き出しては、ぽつりと。
「言ってんじゃねーか」
「……あ」
冷や汗をだらだらと垂れ流すフォックス。
時既に遅し。あれはルーティにとっても大切な思い出の一部だというのに……あろうことかこの砂浜でなくしてしまうとは。