第三章
「やられましたよ」
言葉を交わさずとも通じ合う絆。
完敗だ、とリンクは寧ろ笑みを浮かべてウルフに手を差し出し、握手を求める。
「ふん」
ところがウルフ、その手を受け取らずにパシッと払い除けてしまい。リンクは己が差し出した手を見つめていたが、ふと。
「もしかして……まだ怒ってます?」
ビーチフラッグ対決の時、リンクはウルフにふざけた注文をしてしまった。
リンクだって今は反省しているとかそうではないのだが、プライドの高いウルフのことだから、まだ根に持っているのだろう。
しかしウルフは答えず、ルーティの元へ歩いていってしまった。どうしてこう、悪役というのはプライドの塊なのか。
「おにぃ、すっごぉい!」
ウルフよりも早く、ルーティの元へ駆け付けたのはピチカである。座り込んでいたルーティに思いっきり飛び付いて。