第三章
――欠点がない? 此方にも考えがある。
「ルーティ!」
ウルフが呼びかけると、ルーティは何か思いついたのだろうと察知して素早く後方に飛び、トゥーンとの距離を取った。
トゥーンもいつ攻撃を仕掛けられてもいいように、少し後ろに下がっては構えて。
「どうします? 降参しますか?」
「はっ、笑わせるな」
挑発するリンクにウルフは鼻で笑って、腕を組む。その時、ルーティが駆け出した。
もちろん、ウルフはまだ命令をしていない。とすれば独断か……それにしてはウルフも余裕綽々な表情をしている。
「正面から来ます!」
「ルーティ!」
来いとばかりに構えるトゥーン。ウルフは口角を吊り上げると、声を張り上げた。
「今だ! 砂を掻き上げろ!」