第三章



しかしトゥーンはルーティが近付くのが分かると、咄嗟に左へ飛んで。結果、ルーティの仕掛けた薙ぎ払いは空振り。

「上手いですよ、トゥーン! 右手、一メートル以内にターゲット!」

大きな隙が生じたことを見逃さない。

リンクがそう言うということは打ち込めということなのだろう。トゥーンは一人頷き、木刀を構えてルーティの元へ駆け出す。

「ルーティ! 右だ!」

ウルフの声にルーティははっと右を向いて、木刀を構えた。耳を澄ます。

――微かに風を切る音。薙ぎ払い?

「くっ!」

読みは当たり間一髪、縦に構えた木刀がトゥーンの攻撃を受け止めた。

……しかしこのままでは埒が明かない。

リンクのサポートは完璧だし、トゥーンは機敏で隙も殆ど無い。そのまま体力勝負に持ち込むのはあまりにも危険すぎる。
 
 
60/71ページ
スキ