第三章
潮風が、吹き抜ける。リオンは双方の位置を確認すると、片手を真っ直ぐ挙げて。
「よぅい」
振り下ろすと同時に、
「始めっ!」
「ターゲットは半径二メートル以内、真正面だ。一気に踏み込んで動く前に打て!」
「正面から来ます! 構えて!」
開始の合図がかかると同時に、ウルフとリンクは声を上げて。ルーティとトゥーンもそれに頷き、ぐっと木刀を構える。
刹那、ルーティが駆け出した。砂利を踏み込む音に、トゥーンは一歩引き下がる。
――逃がすもんか!
トゥーンが如何にすばしっこいかはルーティも知っている。一太刀を防がれ、そのまま躱され続けての消耗戦は分が悪い。
「くっ……!」
大きく振り下ろしたルーティの一太刀は真横に構えたトゥーンの木刀により見事受け止められ、ギリギリと押し合う。