第三章
その声にだけ反応して、カービィは少しだけ顔を上げる。刹那、振り下ろされた木刀。鳴り響いたのは破裂音――ではなく。
「っ、……!?」
木刀と木刀がぶつかる、鈍い音。
すぐに体勢を立て直すべくゲムヲは木刀を押し返して反動でバク宙、砂浜に着地。
しかしそれが仇となった。着地の際に鳴った砂利の音にカービィは口角を吊り上げ、木刀を構えて一気に距離を詰める。
「ゲムヲ!」
どうやら此方も勝算が狂ったらしい。
ロボットの表情に変化こそなかったものの、声は何処か焦っているように伺える。
――それも計算の内なのだろう。
「カービィ!」
メタナイトはふっと笑って。
「打ち込め!」
目隠しをしていないのかと問いたくなる速さで。カービィはいとも簡単にゲムヲのガードを崩すと最後、大きく薙ぎ払う――