第一章



「思えば惜しいことをしたわ……」

水関連の単語を聞き付けて、髪をタオルで拭きながら風呂上がりのピーチが現れた。

「何だよ? それ」

ロイが小首を傾げて訊ねる。

すると、よくぞ聞いてくれましたとばかりに、ピーチはぐっと拳を握って。

「夏といえば水着! そして浴衣! 素肌を適度に露出させ、様々な恋愛事情が交差しためくるめく官能の世界……それを繰り広げるのが夏! 即ち今! なのに!」

ピーチは大袈裟に溜め息を吐いて。

「もったいない……実にもったいないわよ! 今も海の岩影で、はたまた道端の草影でまだ見ぬ男子達が、ああぁあ!?」
「寝るわよ」

遮るように、サムスがピーチの腕を引きながら退場。その場に居合わせた男性陣は、苦笑混じりに腐女子様を見送って。

「――それにしても」

ふと、ロイは羨ましそうに。

「夏定番のイベント、かあ」
 
 
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