第三章
そこにいたのはウルフだった。
未だに機嫌が悪いのか、殺気だった鋭い瞳でギャルをじっと見下ろしていて。
「ね、ヤバいって」
「行こ行こ」
ただの人間が獣に睨まれては何も出来るはずなく、ギャルはひそひそと話した後、そそくさとその場を離れて。ルーティはウルフの元へ歩み寄り、見上げると。
「えっと……あ、ありがとう」
ウルフはふんと鼻を鳴らして。
「てめえはよく好かれるな」
嫌味ったらしく言い放つ。ここは喜ぶべきなのか、ルーティは苦笑を浮かべて。
ゲムヲはというと、ギャルだろうがウルフだろうが興味は無いのか、溶けない内にとかき氷を先がスプーン状になっているストローで掬い、食べている。
というか、誰かに買ってこいと命令されて買ったのに、勝手に食べてもいいのか。