第三章
「え、地毛? リアルきんぱ?」
きんぱ、とは金髪のことらしい。
ふんわりと髪を盛っていた真ん中のギャルは一歩前に出てくると、何の前触れもなくルーティの髪の毛を掬って。
「顔立ち超きれーい! え、絶対将来有望ー。自分母親ならマジ手離せなぁーい」
「近親相姦? 的な。超ウケるし!」
髪を緩く巻いたギャルと先程のギャルに負けず劣らず、貴様ライオンの化身かってくらい髪を盛ったギャルは口々に騒いで。
ルーティが白けてジト目になっていると、ちょうど出来上がったかき氷がゲムヲに手渡されて。ゲムヲは振り向くなり一人のギャルと目が合い、そして。
にこり、と可愛らしい笑顔で対応。
「かっわいー!」
二回目。だからどうしたと思われそうだが、ギャルはずいと詰め寄ると。
「ね、あたしらと一緒に遊ばない?」
落ち着け。これはただの――逆ナンだ。