第一章
夏といえば、休暇を取ってレイアーゼまで旅行に来る人間も少なくはない。
レイアーゼは近未来都市。自分らの住む場所よりどれだけ文化が進んでいるかは気になるだろうし、何より空に浮かんでいるのだから世界を一望することも出来る。
しかしこうして観光客やらが増えると、あちらこちらがてんてこ舞いして色んな依頼が大量に舞い込んでくる。
X部隊はレイアーゼの誇る特殊防衛部隊。
その役目をしっかり果たすべく、依頼を片っ端から引き受けているがお陰で休む暇が無い。仕方ないといえば仕方ないのだが。
「何か大変だね」
ルーティはリンクの苦労人っぷりに苦笑を浮かべて。――ここには貴族も何人かいるのに、手を借りずに生計を立てようとしているのは、リンクの強がりだろうか。
「……ルーティ」
さりげなく、ルーティが感心していると。
「本来なら貴方の仕事ですよ。リーダー」
リンクに冷ややかな視線を浴びせられて、ルーティは気まずそうに顔を背けた。