第三章
ウルフは瞼を閉じて深呼吸を繰り返すと、意を決したかのようにかっと目を開き。
その場で小さく円を描くように歩いて三周、リンクに背後を向けたままぴたりと立ち止まると、振り向き、睨み付けて。
「わん」
これだけ殺意のある芸も珍しい。
リンクは睨み付けられようが怖くないのか、よく出来ましたとばかりにウルフに歩み寄ると、にこやかに頭を撫でて。
機嫌の悪いウルフは当然、リンクの手を手荒く振り払うと舌打ち。ぷいと顔を背けたかと思うと、早々にその場を立ち去って。
「おやおや」
リンクはくすくすと笑みを溢し。
「怒る要素なんてあったでしょうか」
大有りだよ!
誰もが心の中で突っ込む中、この、ある意味恐怖のビーチフラッグ対決は、未だ留まることを知らないのだった――