第三章
「そうですねぇ」
リンクは腕を組み、何を命令しようか悩みながらちらりとウルフを横目で見遣る。
「俺だって今は一般人ですから、あまり酷いことを命令するつもりはないのですが」
それを聞いて誰もが安心したのも束の間。
「三回その場で回って、わん」
リンクは微笑を浮かべて。
「……なんていかがでしょう?」
鬼畜。
ウルフのプライドが人一倍高くて、おまけに短気なのは知っているくせに。
しかし、ここで断ればリオンに何をされるか分からない。どちらかといえばそちらの方が屈辱的なので、ウルフは諦めると。
「やってやろうじゃねえか」
潔いものの、明らかに機嫌が悪い。
狼耳や尻尾の毛が逆立っているのが見えて誰もが一瞬身を引いたが、これはこれで見物なのでじっと目を見張っていて。