第一章



「全く……」
「はぁー、すっきり。あれ、リンク?」

仕方なさそうに短く息を吐き出すリンクの元へやって来たのは、ちょうど風呂上がりでさっぱりした様子のルーティ。

首に掛けたタオルで髪の水滴を拭いながら、いつの間にか楽しそうに騒いでいる子供組を眺めているリンクを見つめて。

「……ああ、またクーラーの話?」

ルーティが小首を傾げると、まさにその通りだとリンクは苦笑を浮かべて。

――クーラーのリモコン争奪戦は、ここのところ毎日である。寧ろ、夏の風物詩とも言えよう。いや、それは大袈裟にしても、何にせよ皆暑いのだ。

「クーラーって、電気代馬鹿にならないもんね。仕方ないっちゃあ仕方ないよ」
「分かってはいるんですけどね」

リンクは申し訳なさそうに。

「皆さん、この暑い中でほぼ毎日、頑張ってくださってるんですから。俺だってなるべく涼ませてあげたいんですが、生計を立てている身としてはどうしても……」
 
 
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