第三章
「位置について」
すっとシフォンが片手を挙げると、ファルコとユウはそれぞれフラッグに背中を向けて、砂浜の上に腹這いになり。
「よーい……」
二人は少しだけ腕を立てて構えると。
「どんっ」
その声を合図に、二人は立ち上がりながら振り向き、フラッグ目指して駆け出す。
我先にとぐっと腕を伸ばし、双方同じタイミングでフラッグ目掛け飛び込む。砂煙が上がり、それを勝ち取ったのは。
「っしゃ!」
――ファルコである。
手にしたフラッグを高々と掲げ、思わず拳を握る。ユウは付着した砂を払いながら立ち上がると、短く息を吐き出して。
「さっさとルールに従え」
「へっ、言われなくたってやってやるよ」
拍手を送られ、いい気になっているファルコを横目に、ユウはさらりと言い放つ。
にやついた笑みを浮かべては言い返し、知らぬ間にこのゲームを内心楽しんでしまいながら、ファルコはフラッグの旗に書かれた内容に目を通し、そして。
「……なっ」
何故か固まってしまった。