第一章



「でもさぁ!」
「“でも”やない。団扇で十分や!」

然れど文句を言おうと口を開くディディーに、遮るようにドンキーが団扇でディディーの頭をぽすっ、と優しく叩いて。

「団扇とかダサいよ……」

不服そうに呟き、項垂れるピチカ。いや待て。お前は涼み方に何を求めているのか。

「そうそう。親父臭いというか」

ネスの台詞を遮るように、今度は近場にいたマリオが“親父”という単語を聞き付けすっ飛んで来て、瞬時に愛用のハリセンでネスの頭をひっぱたいた。

痛みに頭を両手で抱えてその場にしゃがみ込み、ネスはマリオを睨み付ける。

「っ何すんだよ!」
「あのな、団扇は偉いんだぞ! 古臭くも親父臭くもないし、電気が無い時代は夏のお供だった! 時に空だって飛べる! これぞアニメクオリティー!」
「それで飛んだアニメとか見たことないよ、兄さん」

ぐっと拳を握るマリオに、呆れ顔ですかさず隣からツッコミを入れるルイージ。

……いつから居たのだろう。
 
 
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