第三章



それは紛れもなく、リンクだった。

厳めしい鬼の仮面で顔を覆っていて、一言も発しない。トゥーンは眉を顰めた。

「兄ちゃんに何をした!」

声を張り上げる。

リュカは怖がってディディーの後ろに隠れてしまい、五人は共に警戒心を高めて。

「彼は鬼に選ばれた。取り戻したければ、立ち向かうといい。……ただし、このゲームのルールを忘れてはいけない」

ベンゼルは楽しそうな口調で。

「鬼に捕まれば、罰を受けてもらう。つまり、どうすれば鬼役の彼を助けられるか……それをよく考えながら、逃げるといい」

鬼の仮面を被ったリンクが一歩踏み出し、五人はじりじりと後退。姿を探すように、きょろきょろと目を動かしながらネスが。

「罰って、どういうやつだよ」

ベンゼルは笑って。

「試すかい?……なら、捕まってごらん」

次の瞬間、リンクが駆け出した。
 
 
10/59ページ
スキ