第三章
「それじゃあ決まりだ」
参加者はここにいる五人の子供組だけで十分なのか、青年は笑って手を離す。
「そういやあんた、名前は?」
トゥーンが小首を傾げ、訊ねる。
すると青年はタクトを振り上げて、ゆっくりと振り始めた。途端に、木の上から聞き覚えのあるオカリナの音色が流れてきて、五人は同時に見上げる。
が、奏者の姿は見えず。……するとたちまち辺りは暗くなり、空も地面も真っ黒に染め上げられて。驚き、五人は背中合わせになって警戒、辺りを注意して。
「――私の名は、ベンゼル」
いつの間にか、そこにいた青年の姿は無く、声だけが響いて。気付けば建物は消えて、その空間には子供組の五人しか存在しなかった。真っ暗闇な、空間に。
次の瞬間、暗闇に次々と色取り取りの明かりが灯っていき、辺りは照らされて。
「えっ……」
そこにエックス邸は無かった。
あったのは、子供なら誰もが憧れる夢の栄地――そう。遊園地だったのである。