第三章



「あっ」

タクトに気付いたピチカが、声を上げて。

「トゥーンとお揃いだねっ」

ピチカが笑うと、トゥーンは「確かに」と懐から同じように白いタクトを取り出した。すると、青年はニヤリと怪しく笑って。

「……君達は鬼ごっこ、好きかい?」

その質問に、子供組は顔を見合わせる。

「好きだけど?」
「まあ遊びの基本だしなっ」

不思議そうにトゥーンが、にっと笑ってディディーが口々に答えた。残りのピチカ、ネス、リュカも賛同するように頷いて。

「それは好都合」

青年は左手の人差し指を立てて子供組の前に突き出すと、目を細めて笑いながら。

「おーにごっこすーるひーと、こーのゆーびとーまれ」

その軽快なリズムと言い方には聞き覚えがあって、それは遊ぶ前に決まって五人の内の誰かがする行動によく似ていた。
 
 
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