第三章



振り向かないままにそう告げるメタナイトの背中を、カービィはじっと見つめていて。――ふと、生暖かい風が吹き抜ける。

「……あら」

サムスは風に靡いて顔にかかった髪を手で払い除けると、庭の隅っこにぽつんと佇む大きな木の傍らにいる、青年を見つけて。

「誰かしら?」

それは、見覚えのない人物だった。


「リーダーレッド、ハイキーック!」

一方、此方は庭で遊び呆ける子供組。

威勢のよい声を上げてマリオに蹴りかかるのは、いつも子供組を引き連れている一番の悪餓鬼、ディディーである。

マリオは「やられたぁー」と棒読みで声を上げながら、軽く体を反らして蹴りの威力を軽減させつつ、地面に倒れる。

すると、その様子が気に入らなかったのかピチカが腰に手を当て、見下ろしながら。

「それじゃ駄目なの! 復活して!」
「何回復活させる気だよ……」

溜め息混じりに起き上がるマリオ。

彼ら子供組を交えたこの微笑ましい光景は、何の変哲もない、いつもの光景である。
 
 
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