第二章
「っゼルダ……今、助けます」
十字架の目の前まで来たリンクはそう告げると、懐からブーメランを取り出して投げ付けた。十字架の根本を切って地面に落ちたところを、すかさず駆け寄ったリンクは両足を拘束している縄を解き、手のひらに突き刺さった釘を引き抜く。
そこでようやくゼルダは意識を取り戻し、ゆっくりと上体を起こす。途端に両手に痛みが走り、小さく呻いたところをリンクが傍らで跪き、肩を抱いては支えながら。
「大丈夫ですか?」
「ええ。……ここは何処なのです?」
知らぬ間にここまで連れて来られたらしく、ゼルダは怪訝そうに辺りを見回す。
「……恐らく、彼が造り出した世界です」
リンクは横たわるダークリンクを見遣って。彼の生命力は凄まじく、鮮血に塗れても尚、くすくすと笑っている。
いや、やはりこんなのは彼らしくない。
そう思ったリンクが立ち上がり、無理矢理にでもダークリンクから事情を聞き出してやろうと歩み出した、その時である。