第一章
「何かしら……」
不思議に思ってリムはその紙を拾い上げる。気付いたルーティとダークリンクも、同じタイミングで両側から覗き込み。
その紙は黒く、白い五線譜と音符が書かれていた。さすがのルーティもト音記号くらいは分かるので、察して思わず、
「楽譜?」
と呟いて。確かに、それは楽譜だった。
しかし、普通、楽譜は白い紙に黒い文字で書くものだ。いや、もちろんそう書かなきゃいけない決まりはないのだが。
「誰かが忘れて帰ったのかしら」
リムは小首を傾げる。
しかし、ダークリンクは五線譜の途中まで書かれた一番最後の音符を指差しながら、
「見ろよ。書きかけだぜ? 埃も積もってるし、書いてた本人も飽きたんだろ」
そう告げてリムとルーティが納得している隙に、ダークリンクはリムの手からその未完成の黒い楽譜を取り上げて。