第二章



「……甘いなぁ」

数歩、ふらふらと後退したダークリンクだったが、己の傷口に触れては手に付着した鮮血を目ににやりと笑うと、ぽつりと呟いて。己の剣を手放し、後退りするリンクにゆっくりと歩み寄りながら。

「そうして生かした分だけ、お前は悪夢に魅せられる。俺は鬼だ。逃げても、逃げても、何処までも追いかける鬼だ……」

ダークリンクはリンクの両肩を強く掴むと、虚ろな瞳で顔を覗き込みながら。

「それこそ、骨と皮だけに成り果てるまで。生きている限り、お前を追い詰める」

恐怖――リンクはダークリンクの言動を不気味に感じて思わず突き飛ばしてしまうと、地面に仰向けに倒れたダークリンクの腰に跨がり、剣を逆手に振り翳した。

体が、ガクガクと震えている。徒に頬を撫でる風が悪魔のように、耳元で囁くのだ。


――怖いのなら、殺してしまえと。
 
 
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