第二章



いや、寧ろこれが本来のダークリンクなのかもしれない。確かに今まではスピカの命令で攻撃を仕掛けてこなかったが、元々は対X部隊用に造られた人間兵器。

実は心の何処かで、こういった機会を伺っていたのかもしれない。動きに迷いが無い以上、彼は本当に、本気で殺す気だ。

「はあっ!」

リンクは目付きを鋭く変えてダークリンクを力強く押し返すと、左下から右上へと斜めに斬り付けた。防御が間に合わず、ダークリンクの右の腰から左の脇腹にかけて切り裂かれ、鮮血が噴き出す。

生温い鮮血が頬に飛び散り、リンクは眉を顰める。人間兵器、とはいえ一応は血の通った生き物。剣による攻撃はやり過ぎだったろうか、と今更躊躇が生まれて。

――いや、迷うことはない。

先に仕掛けてきたのは彼なのだから、これは単なる正当防衛。ここまですれば懲りるだろうし、殺す必要は無いだろう。
 
 
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