第二章
「前から欲しかったんだよ」
ダークリンクは視線を落とすと口元に笑みを浮かべ、ぽつりぽつりと話し始めた。
「沢山の戦いを知った肉体。沢山の人間に称えられた肉体。光に触れる、若く健康な肉体……ずっと、ずっと欲しかった」
楽しそうな声音の反面、瞳は狂気に満ちていて。リンクが息を呑んで見守る中、ダークリンクは己の胸に片手を添えると。
「光に触れただけで衰えてしまうような、不完全な肉体。優しい風の匂いも、甘い花の匂いも知らない……ただ知っているのは、真新しい人の血の匂い。分かるか?」
ダークリンクは己の胸に添えていた手で、先程突き立てた剣の柄に触れると、ゆっくりと引き抜きながらにっと笑って。
「分かんねーよなぁ……」
次の瞬間には剣を右手に持っては横に構えて、勢いよくリンクの元へ駆け出す。
「分かんねーよなぁ!?」