第二章



「ゼルダ!」

リンクが咄嗟にその名を叫んだ通り、十字架に張り付けられていたのはゼルダだった。体はぼろぼろ、頭を垂れていて返事は無い。リンクは顔を顰めた。

「――勝負をしようじゃねえか」

不意を突くように、十字架に張り付けられたゼルダを見つめていたリンクの背後に、ダークリンクが現れた。

リンクは慌てて距離を取り、向き合っては警戒心を剥き出しにして。ダークリンクは一旦地面に己の剣を突き立てると。

「あんたが勝てば、そこにいる姫さんは返してやる。その代わり、俺が勝てば」

瞳に赤黒い光を灯し、ひと呼吸置いて。

「リンク。あんたの肉体を貰う」

予想外の条件に、リンクは思わず目を丸くして固まってしまっていた。なのにダークリンクは構わず、喉を鳴らして笑うと。
 
 
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