第二章



見れば、向かい側のベッドの縁にスピカが脚を組んでは座っていて。……しかし、何故だか知らないが機嫌が悪そうである。

敵意も無ければ殺意も無い。しかも、ルーティによく懐いていて警戒心ゼロ。

攻撃したところで銃弾の無駄。そう判断したウルフは短く息を吐き出すと、銃を枕の裏に隠してはタブーを睨み付ける。

「“たいせつ”はたべないよ」

タブーは相変わらずにこにこと笑いながら、ルーティをぎゅうっと抱き締めて。

可愛らしいが、落ち着かない。ルーティは布団を捲り上げてベッドの縁に座ると、一先ずフォックスを指差して。

「とりあえず、歯磨き終わらせて」

フォックスは素直に頷くと、歯ブラシを銜えてから部屋を飛び出し、洗面所へ。

忙しない人だな、と苦笑いを浮かべつつ、ルーティはつまらなそうに窓の外を眺めているスピカに話を切り出す。
 
 
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