第二章
その声を聞き付けたフォックスが我先にと部屋の扉を開き、飛び込んだ。
「るーひぃ! っは、何があったんだ!」
歯磨きの最中だったのか、名前だけは歯ブラシを銜えていたのではっきりとは言えず、歯ブラシを離すと改めて叫んで。
ルーティは引き攣った笑みを浮かべながら、目の前の少年、即ちタブーを指差す。
「おはよ。しんぱいしょうのきつねさん」
タブーはルーティの背中に腕を回し正面から抱きつくと、フォックスに笑いかけて。
「でっ」
フォックスは青ざめ、後退りながら。
「出たぁああ!」
本日二度目。これにはさすがのウルフも飛び起きて、後ろ頭を掻きながら舌打ちをして。すると、タブーに気付き、硬直。
「ふふ、おはよ。ルーティのパートナー」
タブーがにこやかに挨拶をすると、ウルフは目を逸らさないまま手探りで枕元の拳銃を手に取って。それを見たルーティが慌てて止めようとしたが刹那。
「よせ。そいつに攻撃するな」
またも、聞き覚えのある声がして。