第一章



次の瞬間、ぶわっと極彩色で巨大な翼がタブーの背中から生えては広がり、波紋状の赤紫色の衝撃波が放たれて。

衝撃波に吹き飛ばされ、他のダークシャドウが怯んでいる隙に、タブーは振り向いてダークリンクごと己を両翼で包み込んだ。

「じっとしていて」

何のつもりだと叫ぼうとしたが刹那、タブーは未だ瞼を閉じたままそう告げると、次第に二人を青紫色の光が包んでいき。

やがて青紫色の光の球体に二人は包まれるが、それは徐々に収縮していくと、間もなくぽんっと白い煙を残して消えてしまい。

「あっちゃー、逃げられちゃったねぇ」
「ええ、逃げられました」

ダークピットはそれまでその場に跪いていたが、ゆっくりと立ち上がると、苦笑混じりにダークファルコと話して。

「……何で逃げるんだろうねぇ」

それまでいつものようにへらへらと笑っていたピットは、不意に狂気を帯びた感情の籠もってない瞳を空に向けて、呟く。

「どうせ、逃げられないのに」
 
 
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